<イヌリンクリアランス>猫と犬の腎臓機能を確認できる検査

腎臓が機能しているのかを調べる検査

昨年(2018年)の冬に、担当医から教えて頂いた「イヌリンクリアランス」という検査についてのお話です。
本日、マオの薬をもらいにいったときに改めてお話を伺ってきました。

我が家の猫4匹中、マオ以外の3匹が毎年の健康診断でクレアチニン(Cre)の数値が1.9~2.2をうろうろ・・・。
腎不全でいえばステージ2です。

ステージ1
腎機能残り 100~33% Cre 1.6 mg/dl 未満

ステージ2
腎機能残り 33~25% Cre 1.6~2.8 mg/dl

ステージ3
腎機能残り 25~10% Cre 2.9~5.0 mg/dl

ステージ4
腎機能残り 10~5%  Cre 5.1 mg/dl 以上

 

現在、マロン6歳弱、ノア6歳弱、モカ5歳弱ですが、1歳のときからこの数値を維持しています。
しかしBUNやSDMAなど、他の血液検査と尿検査はすべて異常がなく、Creのみ正常値を超えています。
(ほとんどの動物病院では1.6以下を正常値としています)

上記のステージでいえば「2」となり、残り67~25%しか機能していないことになります。
そもそもCreは腎臓が機能しなくならないと数値として現れにくい検査です。
しかしCreは筋肉量にも左右されるため、高い数値が出る場合があります。
つまりCreで異常値が出た場合、すでに腎不全の可能性が高い、でも筋肉量が多いからたまたま数値が高いのかも?もしくは腎不全で筋肉量が多い?という曖昧な数値です。

多くの動物病院でここ数年、SDMAという検査も導入されており、筋肉量に関係ないと言われています。
SDMAは14以下であれば正常とのことで、我が家は全員が14以下です。
しかし新しい検査方法のため、まだまだ信頼度が低いのが現状です。

はたして、我が家の3匹は本当に腎臓機能が低下しているのか?
何年もこの疑問がぬぐえず、いつも担当医に相談してきました。

 

イヌリンクリアランス

昨年、担当医に他の検査はないのか?と相談したところ、「イヌリンクリアランス」という方法があると教えて頂きました。
猫でこの検査をしたことはないそうですが、犬では何度もあるそうです。
もちろん猫も検査は可能ですが、犬ですら滅多に検査することはないそうです。
大きな手術で腎臓を切除しなくてはいけない時、切除しても腎臓が機能するのかを調べるなど特別なときに使ったりするそうです。

イヌリンクリアランスとはどんな検査なのか?
「イヌリード」という薬品を投与し、糸球体ろ過量の測定による腎機能検査。
簡単に説明すると、薬品を投与し2時間後と3時間後に2回の血液採取をして、投与した薬が血中にどれほどあるか?を検査するものです。
腎臓がどれだけ(何%)正常に機能しているか、筋肉量など他の要素に左右されずにわかります。

その薬1本で猫なら3~4匹は検査できるそうで、我が家にとってはちょうどいいのです。
過去にも犬で検査をした場合は、1頭だけでは薬がもったいないので、他の患者さんの希望者を募って2~3頭を同時に検査したそうです。

12時間絶食をし、半日ほど病院にあずければ検査できます。
数日後に血液検査の結果が出て、腎臓が何%機能しているかわかります。

 

検査費用はいくら?

お値段はその病院では薬1本の料金が20,800円(よその犬や猫と同時に検査する場合は頭数で割ります)
その他、血液検査代などなど色々と追加されます。
詳しくは聞いていませんが、おそらくその薬を点滴をしながらの検査だと思います。

我が家の場合、3匹を検査したいので合計金額を計算して頂いたところ、約6.5万。
薬代20,800円+血液検査1匹当り2回ずつ・検査処置代・半日預ける費用などが4.5万となります。
1匹当りだと薬代+1.5万です。
決して安くはありません。
といっても、その病院は良心的な料金なのでこれでも安いほうかもしれません。

 

検査をいつするのか?

昨年から担当医と何度も話し合いをした結果、今現在はまだ検査の必要はないのではないか?という結論になりました。
Cre以外の数値に変化があった場合、腎不全の可能性があるのでその場合はこの検査をしてみましょうということに落ち着きました。

もし今すぐ検査をして腎不全ではない場合、確かに「良かった良かった~」と喜べます。
しかし、いつか腎不全になった場合には、やはりこの検査をする日がくるかもしれません。
決して安くない検査ですので、今すぐする必要はないのではないか?と。
「もし本当に腎不全であれば、Cre以外の数値に必ず異常が出るはずで、年々進行するはずです」と言われ納得しました。

すでに腎不全で残りの腎機能がどのくらいあるのかを知りたい飼い主にとっては少々高くても検査してみたいところでしょう。
その結果によって、投薬やフードの選び方も変わってくるからです。
ただ、我が家ではまだ早いのでは?という結論になっただけです。

 

血液検査の数値とは?

我が家の場合はCreのみ数値が高く、他の検査では異常がないため腎不全ではないのではないか?と担当医も疑っています。
私も同様の意見です。
最近、海外ではステージ2の数値でも必ずしも腎不全とは限らないという見解もあるそうです。
我が家の猫達は何年も数値を維持しているので、腎不全が進行しているとは思えません。

先生いわく、健康な猫の数値とは健康とされている猫全体の9割以上がその数値内であるから基準値として「正常」としているだけで、中には健康でもその「正常値」の枠外の数値の場合もある、と言われました。
遺伝的に一部の数値のみが高いという可能性もゼロではない、だから一概に1つの検査数値だけで腎不全と決め付けることは出来ないでしょう、と。

 

海外での腎不全のフードの考え方

海外ではフードの考え方も変化していて、すべてのステージに同じ成分のフードを食べさせるのは不自然ではないのか?という研究もしているそうです。
そのため、ステージ2ではそこまでたんぱく質を制限したフードでなくてもいいのではないのか?という考え方もあり、ステージにあった新たなフードも出ているとのことでした。
日本でもすでに発売されているとか?もうすぐ発売なのか?フードについては後日、調べておきます。

つまり、我が家の場合は腎不全と言い切れない数値のため、そこまでシビアなフードでなくてもいいのではないか?ということです。
本来なら、猫はたんぱく質を必要としているので、極端にたんぱく質を制限するのもどうかと思うのです。
もちろん腎不全ならなるべく腎臓に負担をかけないためたんぱく質の制限は必要だと思います。

現在我が家では、腎臓用の療法食と普通のフードをブレンドしています。
かれこれ4~5年はこの状態ですが、毎回の検査では同じ数値が続いています。
いつか、腎不全かもしれない?と疑うときがきたら、イヌリンクリアランスで検査してみたいと思います。

 

イヌリンとは?

イヌリン (inulin) は自然界においてさまざまな植物によって作られる多糖類の一群である。炭水化物の一種、果糖の重合体(フルクタン)の一種であり、同類の植物による貯蔵栄養素であるデンプンと異なりヒトの消化器では分解不能で大腸の腸内細菌叢によってはじめて代謝されるため、栄養成分表示では糖質ではなく食物繊維として扱われる。キク科の植物は肥大した根や地下茎、それに由来する塊茎などに栄養源を貯蔵するための手段として利用している。イヌリンを合成・貯蔵する植物は、多くの場合デンプンのような他の物質を貯蔵することはない。イヌリンの名称は、キク科オグルマ属の植物 (Inula) から抽出されたことに由来する。

イヌリンは栄養上の性質に優れることから、食物製品に使用されることが近年増えてきている。薄味のものから甘めのものまで広範に使用されており、砂糖や脂肪、小麦粉の代わりに用いられることもある。これは次の点において有利であるとされる。すなわち、イヌリンは砂糖や他の炭水化物と比較して3分の1から4分の1程度のエネルギーしか含まず、脂肪と比べて6分の1から9分の1程度のエネルギーしか含まない。さらに、カルシウムの吸収を促進し、おそらくはマグネシウムの吸収も促進する。また、腸におけるバクテリアの活動を増進させる。

イヌリンは糸球体において完全に濾過され、腎尿細管によって分泌されることも再吸収されることもないため、重要な腎機能(特に糸球体濾過量)の測定を行う指標物質として使用され続けてきた(イヌリンクリアランス)。

慢性腎臓病患者の大多数に対して、EDTA(エチレンジアミン四酢酸、エデト酸)、クレアチニンクリアランスといった項目を調べることで糸球体濾過量を実際に測定できると確認されており、それはイヌリンの測定よりも単純な方法で可能であるために広く行われるようになっているのであるが、それでもなお、イヌリンの検査をすることで糸球体濾過量を測定することは標準であるとされている。

引用 Wikipedia